すずしろの花誕生秘話

大根の葉っぱ・・・何に効くの?

大学で薬用植物学を担当している私(堀田)のところに、ある友人がこんな話を持ってきました。
「先生、大根の葉っぱの研究しないかい。あれはそのまま食べることもできるし、冬場乾燥しておいてお風呂に入れたりいろいろ役に立つんだ。でも、ほとんど農家が切って畑に捨てちまってる。もったいないだろう。」

大切な友人のこの言葉に私はピンと来て、いろいろ文献を調べてみました。大根の葉はニンニク、タマネギとともに古代エジプトのピラミッドを建設する人に食べさせていた元気が出る野菜の一つであること、そのわりには最近の科学を駆使した研究例はほとんどないことなどが分かりました。これ以上文献を調べても何も収穫がなさそうだったので、お知り合いの農家の人たちなどに聞き取り調査をしてみると、大根の干した葉っぱ(干葉(ひば)と言うそうです)を煮出した汁は、お風呂に入れるとあったまるだけではなく、ヒビ、アカギレを治すのに使っていたとか、母親のお乳が出なくて痛いときおっぱいに湿布すると出るようになるとか、はたまた馬の捻挫を治すのに使っていたとか、いろいろな話を教えてくれました。

手作りせっけんと大根の葉っぱの相性は・・・?

ちょうどそのころ、私の研究室のスタッフの女性が、自分の肌と髪の悩みを解消するために手作りせっけんを作っていて、とても肌に優しくて使い心地が良いと聞き、当研究室で大根葉のエキスをいれたせっけんを作ることを思い立ったわけです。

まずはじめに調剤薬局の社長である古くからの友人にこの研究の計画を話すと、彼にはアトピー性皮膚炎の息子さんがいて、かわいそうで見ていられないほどひどいとのことで、さっそくその息子さんに使ってもらいました。すると息子さんがとてもこのせっけんを気に入ってしまい、社長は「研究費を提供するから、ぜひこのせっけんを製品化して多くの人に使ってもらいましょう!」と言ってくださいました。

それから試行錯誤を重ねて、多くの人により使いやすいように、泡立ち、しっとり感、堅さ、形状などを研究し、ついに最高の配合と製法を編み出しました。

病院との共同研究へ

次にいただいた研究費で大量にせっけんを製作し、札幌市内にある牧田病院の漢方医である今井先生に協力していただいて、臨床研究をスタートしました。主にアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患で通院されている方で、投薬などにより比較的病状が安定してきた方にせっけんを渡していただき、保湿感、かゆみの軽減などについてのアンケートに答えてもらいました。病院で治療を受けて漢方薬も飲んでいる患者さんですから、病状が好転したとしても必ずしもせっけんの効果とは言い切れないわけですが、アンケートではおおむね好評で、ほとんどクレームもなく、ぜひ販売して欲しいという声をたくさんいただき、いよいよ販売できる体制作りを考えなければならなくなりました。

セッケン職人への道

大学の准教授をしながらせっけんを生産・販売することは難しいので、はじめは石鹸工場に委託製造してもらおうと考えましたが、3社に頼んで3社ともすべて断られました。私たちの製法は工場の大量生産ラインに乗らないからです。

私は自らせっけん職人になる決心をしました。もう多くのファンの方がいるのです。後には引けません。大学にもお願いして、大学内に会社を建ててせっけん工房を作る許可をいただきました。それから化粧品製造免許を取得するなど、たくさんのハードルを越え、はじめに友人から大根葉の話をもらってから8年、多くの方の想いをのせたこのせっけんは、ようやく晴れて皆様に販売できるようになりました。

 

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